質疑応答・エッセイ集
世界における共産化の進行
コンヴァージェンス convergence という言葉があります。辞書を見ますと、「共産主義と非共産圏との乖離縮小化」という訳語が当てられています。
コンヴァージェンスが世界において進行している、と聞いて、そんなバカな、と言う「クリスチャン」がいます。
まず、世界に陰謀が存在しない、と主張するならば、その人は聖書を信じるクリスチャンではありません。
詩篇第2篇に次のように書かれています。
なぜ国々は騒ぎ立ち、国民はむなしいことを企むのか。
地の王たちは立ち構え、治める者たちは相ともに集まり、主と、主に油をそそがれた者とに逆らう。(1−2節)
共産主義が陰謀でなくて何でしょうか。彼らはキリスト教の価値を否定し、キリスト教を破壊しようともくろみました。ソ連において、教会に対する大規模な迫害があったことを見てもわかります。
ヴァージニア州議員であったソバーンは、興味深い指摘を行っています。
「マルクスは、国家が貨幣の価値を操作できるようにするために、中央銀行制度を唱道した。今世紀のはじめに作られた連邦準備制度(Federal Reserve System)は、アメリカにおいてインフレを促進させてきた。インフレは、貯蓄を減らし、家族を弱体化する。
マルクスは、累進課税をも主張した。連邦準備制度がアメリカに導入されたのとほぼ同時期に累進課税も導入された。累進課税は、「金持ちを懲らしめる」手段としてアメリカ人に提供された。はじめは、この税制によって影響を受ける人々はほんの一握りであった。その当時は、所得税には5パーセントの上限が設けられていたが、現在では、14パーセントから始まるのである。
現在の課税上限は、「たったの」50パーセントである。かつては90パーセントを越えていたのである。金持ちを懲らしめるために制定されたこの制度は、今日では中産階級や貧困者を脅かす存在となっている。ほとんどすべての国民が累進課税の対象となっている。中産階級は大きな負担を強いられている。資産税、(社会保障を含む)雇用税、消費税、その他多くの税金と合わせて、所得税は、毎年、平均的な家庭からその富の半分近くを奪っているのである。
相続税も、カール・マルクスによって唱道され、ヒューマニストと、無思慮なクリスチャンによってアメリカに導入されたのである。相続税は、「国家が家庭の富を相続すべきである。」という考えに基づいて制定された。多くの家族経営の会社は、相続税の支払いによって消滅せざるを得なくなった。」
さらに、教育について次のような指摘も行っています。
「マルクスはキリスト教を破壊しようとした。そのためには、家庭を破壊しなければならないと考えたのである。家庭を破壊するためには、私有財産を没収しなければならないと気づいた。
カール・マルクスは、家庭と財産と自由が互いに連動していることに気づいていた。『共産党宣言』の中において、マルクスは税金で維持される義務教育制度が必要であると主張した。・・・カール・マルクスの考えのほとんどが、アメリカに導入されたということは、それほど頭の良い人でなくても容易に理解できるのである。ヒューマニスト、ホラス・マンの元で、公立学校による義務教育制度がスタートした。無神論者であり社会主義者であることを公言していたジョン・デューイは、学校をヒューマニズムの教育機関として発展させた。・・・
公立学校の発展にともなって、ヒューマニストたちは、いくつかのことを達成することに成功した。まず、彼らは子どもたちから、聖書的信仰を奪った。公立学校の7年生と8年生だった頃、私の先生が『人間は動物に過ぎない。』『人間は死ねば、それで終わりである。』と言ったのを覚えている。
公立学校は徐々に世俗化されていった。聖書は、もはや神の御言葉と考えられなくなっていた。それは単なる文学書として扱われた。ヴァージニア州フェアファックス郡のある学校の理事会は、子供たちが祈りを書いて掛けておいた板を教室の壁から外すように命令した。聖書購読と祈りの時間は廃止された。それ以外のことは自由に導入された。最近、私の友人は、フェアファックス郡のある高校の壁にレーニンの写真が張ってあるのを目撃した。」
このように、マルクス主義は、マルクス主義という名の下にではなく、隠然と、世界に浸透しているのです。
このような傾向を知って、聖書を信じ、キリストの主権が世界に広まることを望んでいるクリスチャンは、神の敵が攻撃を仕掛けていると考えざるを得ないのです。
もちろん、キリストの主権を認めない、いわゆる「クリスチャン」は、このようなことを聞いても、「そんなバカな」ですむでしょうが・・・。
キリストがあらゆる領域において王であると認めたくないクリスチャンは、クリスチャンではないのです。彼らは、教育においてキリスト教が基本とならなければならないとは考えません。じゃあ、何が基本となるべきなのか。そうです。ヒューマニズムです。彼らはクリスチャンではなく、ヒューマニストなのです。
聖書に基づいてあらゆる領域を変革することを望まないキリスト教は、キリスト教ではなく、別の宗教なのです。カルヴァン主義最大の神学者と呼ばれるメイチェンは、リベラル派のキリスト教は、キリスト教ではなく、別の宗教であると述べたのは、至言と言うべきでしょう。
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