キリスト教のユダヤ的伝統の回復(2)





ジョン・D・ガール博士


 「助言者が多ければ安全である」(箴言24:6)は、首肯すべき警句である。意見交換のために指導者たちが集まってチームを作るならば、彼らは素晴らしい働きをすることになるだろう。そのチームは、イエスが弟子たちの中にお造りになったユダヤ的モデルに倣って作られるだろう(マタイ20:25)。チームの運営とサーバント・リーダーシップ(訳注・下僕になる者がリーダーになるという原則)は、RESTORATION FOUNDATIONの管理と操作において主導的原理となるであろう。  RESTORATION FOUNDATIONは、キリスト教会への啓蒙活動にも焦点を当てるだろう。これは、ユダヤ的回復の極めて重要な側面をなすものである。つまり、ユダヤ嫌いという伝統的態度のゆえにユダヤ教とユダヤ人に対して偏見を抱いてきたキリスト教会に啓蒙活動を行うのである。この活動の中で、協会は経験豊かな学者や牧師たちに用語・方法・態度の検討を行わせ、彼らの活動がさらに効果的になるように指導するだろう。つまり、キリスト教会が潜在的に持っている本質的ユダヤ性の受容力を高めるために活動するだろう。協会は、真理を伝える際に、まだユダヤ的遺産を理解していない人々を疎外することがないように言葉の使い方に注意しなければならない。

 キリスト教の起源にユダヤ教がどのような影響を与えたのかということをよりよく理解しようとしている学者や研究者を支援するために、RESTORATION FOUNDATIONは、資料センターを創設・維持し、会員や学者、クリスチャン指導者に、本や季刊誌、キリスト教のユダヤ性を分析する視聴覚教材を利用できる場を提供する。そこには、多くの研究者や著者たちが集めた資料の宝庫があって、ユダヤ教とキリスト教の相互関係の様々な側面について研究することができるのである。重要なのは、これらの資料は教会の指導者のために収集され、彼らに利用してもらうために存在している、という点である。

 RESTORATION FOUNDATIONは、セミナーや学習フォーラムを後援・組織・主催し、キリスト教会におけるユダヤ教の遺産に関する指導を行う。構成会員の多くはすでに独自の啓蒙活動に携わっている。RESTORATION FOUNDATIONは単に、これらの働きを励まし、促進しようとしているだけである。この分野は、多くの専門家たちにとってまだ開発途上の分野である。そのため、キリスト教会やその会衆、牧師たちが総合的理解を深める上で、各自は貴重な貢献を行うことができるであろう。これらのすべての有意義な働きを支援する過程で、RESTORATION FOUNDATIONは各自が所属する組織の秩序を乱すことは行わない。RESTORATION FOUNDATIONの組織の内部において、集団の協力を必要とする分野が出てくるかもしれないが、他のミニストリーを取り込んで何かを行うことは協会の目的にそぐわない。協会はメンバーを支配するつもりはなく、正統主義を確立する意図もない。協会は、基本的教義や神学的に交渉不可能な教義に関してはこれを堅持するが、周辺的な問題において正統主義を確立するつもりはない。協会は、多様性の中の統一というユダヤ教的概念を促進するだろう。これは、画一化を通しての一致という伝統的なキリスト教概念とは対照をなすものである。

 ユダヤ・キリスト教信仰に基づく家族教育(これはヘブライ聖書と使徒的文書のいずれにおいても実行するようにはっきりと教えられている)用教材の開発・制作・販売は、RESTORATION FOUNDATIONの活動を特色づける重要な要素となるだろう。協会は、家庭教育に携わる協会員の活動を支援するだろう。これは筆者の個人的な意見であるが、キリスト教のユダヤ性に関する見解を伝える上で、最も利用しやすいテーマは、「ユダヤ教による家族相続の強調」であろう。ユダヤ教の原理が家族を強化することにあるということを知れば、家庭の回復を切望している幾百万もの人々は、ユダヤ的遺産とキリスト教信仰に関する他の真理をも容易に受け入れるようになるだろう。RESTORATION FOUNDATIONは、書物や教材の出版、セミナーを記録した視聴覚媒体の制作、キリスト教とユダヤ教との相互関係を理解する上で役立つ教材の作成を行う。現在、筆者は歴史と神学に関わる総合的な論文を執筆中である。タイトルは『キリスト教の失われた環の発見−−ユダヤとのつながり』になるであろう。これは、イエス・キリストの福音とキリスト教会の本質的ユダヤ性に関する筆者の見解を詳細に説明している。また、文書を400以上のソースに提供する。私の計画では、セミナー学習ガイドや通信講座用の詳細なアウトラインを作成するための土台としてこの研究を利用するつもりである。このアウトラインは、単純かつ系統的で、一般信徒が用いる非専門的な言葉で書かれている。ユダヤの遺産に関する見解を文書で伝える場合、このような言葉を用いてもよいのである。

 RESTORATION FOUNDATIONの果たすべき重要かつ基礎的な仕事は、利用できるあらゆる手段(祈り、教育、宣伝)を用いてキリスト教会及び一般世界からユダヤ嫌いと反ユダヤ主義を根絶することである。もし「教会は聖書的ユダヤ教から遺産を受け継いでいる」という事実を教会自らが理解するならば、彼らはユダヤ教に反対したり、面と向かって反ユダヤ主義を唱えた過去の行状を悔い、イスラエルをあわれみ、承認し、愛する心をもってユダヤ人に対するようになるだろう。

 このような活動の支援を受けながら、RESTORATION FOUNDATIONはイスラエル国民とすべてのユダヤ人に対して愛と責任と援助を与えるようになるだろう。協会は、全世界において、ユダヤ教の指導者との信仰を越えた対話の機会を設けるだろう。協会は、ユダヤ社会の霊的指導者を支援し、彼らの働き−−つまり、ユダヤ教の豊かな遺産をキリスト教会にそそぎ込む働き−−を助けるだろう。協会は、メシアにして主なるイエスに関するキリスト教会の偉大な見解をユダヤ社会に伝えようとするだろう。

 実際、筆者は、RESTORATION FOUNDATIONについて極めて大きなヴィジョンを持っている。しかし、私は、それが聖書に基づくものであり、預言が果たすべき働きを実行するものであると信じている。読者の皆様のご支援や、このような聖書的運動に加わることを望む無数の人々の援助を受けつつ、RESTORATION FOUNDATIONはユダヤ的回復のメッセージを世界中のすべてのキリスト教社会に携え行くことだろう。それは、キリストの体が、再臨のユダヤ的メシア、イェシュア・ハ・マシアハ(イエス・キリスト)を受け入れる準備を整えるためなのである。


RESTORATION FOUNDATION 主催のキリスト教のユダヤ的伝統セミナーへの寄稿論文







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