R・J・ラッシュドゥーニー
人生において、我々は、死と病気を避けることはできない。しかし、服従と健康との間にはある因果関係があることを、律法は強調している。病気と死が人類に入ったのは、堕落の結果である。キリストが再臨され、「最後の敵」である死(Iコリント15:26)が滅ぼされるときまで、病気と死はこの世から消え去らない。しかし、この再臨が起こるまでの間に、大洪水前のような健康と長寿の時代が再びやって来るのである(イザヤ65:20)。律法に従うときに、我々は、1)健康、2)物質的繁栄、3)豊作、4)敵に対する勝利、5)主の愛と祝福を獲得できるのである。申命記7:12−16節においてこのことが明示されている。
それゆえ、もしあなた方が、これらの定めを聞いて、これを守り行うならば、あなたの神、主は、あなたの先祖たちに誓われた恵みの契約をあなたのために守り、あなたを愛し、あなたを祝福し、あなたを増やし、主があなたに与えるとあなたの先祖たちに誓われた地で、主はあなたの身から生まれるもの、地の産物、穀物、新しい葡萄酒、油、またあなたの群れのうちの内の子牛、群れのうちの雌羊をも祝福される。あなたはすべての国々の民の中で、最も祝福されたものとなる。あなたのうちには、子のない男、子のない女はいないであろう。あなたの家畜も同様である。主は、すべての病気をあなたから取り除き、あなたの知っているあのエジプトの悪疫は、これを一つもあなたにもたらさず、あなたを憎むすべてのものにこれを下す。あなたは、あなたの神、主があなたに与えるすべての国々の民を滅ぼし尽くす。彼等をあわれんではならない。また、彼等の神々に仕えてはならない。それがあなたへのわなとなるからだ。人間は、律法を完全に守り通す時、完全な健康と、生活のあらゆる面における完全な状態に達することができるのである。人間はこの人生において律法を完全に守り通すことはできないが、それでもなお、非常に豊かな健康と繁栄を服従によって獲得することができるのである。
律法は、もっと多くの様々な面で重要性を持っている。契約の儀式である割礼は、新約時代に洗礼に取って代わられている。しかし、神の法は統一体であり、神の所有物一切に対して効力を持つので、割礼には、霊的・物質的な効果があるのである。今日、契約の印としての割礼にはいかなる意味も存在しないが、神がご自身の民に与えようとしておられる健康な生活を達成する手段として、割礼には重要な意味があるのである。医学的見地から見た割礼のいろいろな意味について、幾人かの医者がコメントしている。このうち、ヘンシェン博士の意見だけを引用しよう。というのは、彼はクリスチャンでないにも拘らず、ある程度、この分野において健康が宗教と関係していることを認識しているからである。
信じがたいと思われるかもしれないが、宗教的な教えと単なる衛生学的予防措置が、癌の予防に役立つことを示す実例も存在するのである。ユダヤ人、非ユダヤ人を問わず、割礼を受けた男性と結婚したユダヤ人女性が、現在スウェーデンにおいても増加の兆しを見せている非常に一般的な種類の癌−子宮頸癌−に、ほとんど罹らないということは、長い間常識とされてきた。この事実は、月経期間中の性交渉を禁ずるユダヤ人の律法と割礼の習慣に関係している。個人的な衛生的処置を怠った場合に出来る分泌物(垢脂)は、割礼の実行によって永久に除去することができる。若い時に修道院に入った女性も子宮頸癌に罹らない。経験から判断すると、分解された垢脂は、陰茎癌の病因となる。幾つかの報告が示す通り、とくに中国においてこの傾向が顕著である。1
様々な食事律法、分離律法、その他今日ではもはや契約のしるしとしての存在意義を失っている様々な律法は、申命記7章12−16節に示されているように、健康を促進する規定として、依然として有効であり、守るべき命令なのである。
R.J.Rushdoony: APPENDICES6.Obedience and Health:Law and Society,pp.701-702.Vallecito,California: Ross House Books,1982.
1. Dr.Folke Henschen:The History and Geography of Diseases,p.309.JoanTate,translator. New York:Delacorte Press(1962)1966.
This article was translated by the permission of Chalcedon.