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千年王国は将来起こる?



(Q)黙示録20・4−6を読むと、明らかに千年王国は、将来起こることと考えざるを得ないのではないでしょうか。

黙示録20・4−6:

 「また私は、多くの座を見た。彼らはその上にすわった。そしてさばきを行う権威が彼らに与えられた。また私は、イエスのあかしと神のことばとのゆえに首をはねられた人たちのたましいと、獣やその像を拝まず、その額や手に獣の刻印を押されなかった人たちを見た。彼らは生き返って、キリストとともに、千年の間王となった。
 その他の死者は、千年の終わるまでは、生き返らなかった。これが第一の復活である。
 この第一の復活にあずかる者は幸いな者、聖なる者である。この人々に対しては、第二の死は、なんの力も持っていない。彼らは神とキリストとの祭司となり、キリストとともに、千年の間王となる。」


(A) 支配と復活は、「すでに」クリスチャンに与えられた特権であると聖書は主張しています。

 「あなたがたは、バプテスマによってキリストとともに葬られ、また、キリストを死者の中からよみがえらせた神の力を信じる信仰によって、キリストとともによみがえらされたのです。」(コロサイ2・12)

 ここで、「よみがえらされた」という言葉は、συνηγερθητεであり、不定過去時制が使われていますので、「もうすでにクリスチャンは、キリストと共に復活しているのだ。」と言われているのです。

 「・・・神は、キリスト・イエスにおいて、ともによみがえらせ、ともに天の所に座らせてくださいました。」(エペソ2・6)

 「よみがえらせ」という言葉はσυνηγειρενであり、同じく不定過去時制なので、これもすでに「神はクリスチャンをよみがえらせたのだ」と語っているのです。

 コロサイ2・12にあるように、クリスチャンにとって、バプテスマはキリストと共に死ぬことを意味します。そして、クリスチャンは、「復活の信仰」によって、キリストと共に「復活」したのです。

 そして、復活したクリスチャンは、エペソ2・6が示すように、キリストと共に「天の所に」座っている、つまり、キリストと共に支配の座についているのです。

 エペソ1・20において、パウロはキリストの王権を宣言しています。

 「神は、キリストを死者の中からよみがえらせ、天上においてご自分の右の座に座らせて、すべての支配、権威、権力、主権の上に・・・置かれました。」

 クリスチャンも、この王なるキリストと共に天に座している存在だと言われています。

 ヨハネは、すべてのクリスチャンが「王」及び「祭司」となったと述べています。

 「私たちを王(または王国)とし、ご自分の父である神のために祭司としてくださった・・・。」(黙示1・6)

 第1ペテロでは、クリスチャンについて次のように言われています。

 「あなたがたは、・・・王なる祭司・・・です。」(2・9)

 ここで「王なる」にあたる言葉はβασιλειουですが、これを形容詞ととるか、名詞をとるかによって、解釈が異なります。形容詞ととれば、「王的祭司」となり、「クリスチャンは、王宮で働く祭司である」という意味となり、名詞ととれば、「クリスチャンは、キリストと共に王的支配権を持つ者である」という意味になります(松木祐三、新聖書注解新約3、いのちのことば社)。

 「あなたがたも、・・・聖なる祭司として、・・・神に喜ばれる霊のいけにえをささげなさい。」(2・5)

 このように、クリスチャンは、すでに復活しており、祭司であり、支配者なのだ、と言われているのですから、「彼らは神とキリストとの祭司となり、キリストとともに、千年の間(*)王となる。」(6)という箇所は必ずしも未来のことを意味しているとは言えないのです。

 クリスチャンは支配のために召されています。神の御言葉を教え、バプテスマを授けることによって、全世界に神の支配は拡大されます。歴史が進むとともに、クリスチャンは、その支配の領域を拡大していくのです(マタイ28・19ー20)。

 現在、キリストは王であり、キリストの王国は進展しています。教会(エクレシア=目に見えない教会)は、生きている者だけによって成り立つのではありません。それは、すでに他界した信者も含めて、全体が教会なのです。キリストは、すでに他界した「モーセも、ユダヤ人たちを告発している。」と言われました(ヨハネ5・45)。ですから、信仰のゆえに迫害されて殺された人々も含めて、教会は御言葉を証しし、キリストと共に支配しているのです。(**)



(*)千年という数字は、キリストにつながる人間の支配がキリストによって永続的であることを象徴しています。ダビデ王国の支配は、千年続きませんでした。もしダビデ家が忠実であれば、キリストが来られる時に、まだダビデ家が存続していたはずでした。アダムの年齢(930才)や聖書に記されている最も寿命の長かったメトシェラでも千年に達しませんでした(969才)。神の子キリストがダビデの子としてやってくるまで、だれも千年王国を作り出すことはできなかったのです。


(**) キリストが昇天された時に、彼は、クリスチャンを共に天に引き上げて、御自身と共に治める者として下さったのです。それは、地上に生存している者だけではありません。旧約の人々も、ネロによって殺害された人々も共に、支配する特権を与えて下さったのです。

 生存しているクリスチャンに支配権が与えられ(4)、ネロ(***)によって殺害されたクリスチャンにも支配権が与えられています(4)。天にある人々も、地上にある人々も、共に、キリストの十字架によって購われ、交わりを持ち、すべてが王国の一員として、キリストと共に支配している、ということが、ここで言われているのです。


(***) 「獣」は、この手紙(ヨハネ黙示録)を受け取ったクリスチャンにとってなじみのある人物でした。そうでなければ、「獣の数字を数えよ。」(13・18)と言われなかったでしょう。私たちも手紙を書くときに、相手にとってチンプンカンプンなことは書きません。この手紙は、紀元1世紀の七つの教会を励まし、警告するために書かれたので、その主旨と矛盾することは記されないはずです。

 獣は、ネロを指しています(拙文「666とは誰か」参照)。ネロ・カエサルのヘブル語文字rsq nwrnに割り当てられた数字を合計すると666になります。

 当時、ネロは教会を迫害していました。ネロの迫害の中で、パウロとペテロも殉教したのです。






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